第2期北海道ギャンブル等依存症対策推進計画(素案) についての意見

提出意見

 「第2期北海道ギャンブル等依存症対策推進計画(素案) 」につきまして、素案第Ⅰ章の「4 ギャンブル等依存症の現状」のうち特に(3)現状認識(P12)に対する当法人としての意見書を提出いたします。


意見

 該当項における「2019 年5月に国際疾病分類に「ゲ ーム障害」が加わりました。」という記載につきまして、「ギャンブル障害」の文脈で表記されている点に意見を申し上げます。

 同項の記載は、ICD-11における”Gaming Disorder”を指すと思われますので、御庁としては「ゲーム障害」についてはICD-11での定義づけに基づき対策等を講じる立場を採るものと考えられます。したがって、ある状態をゲーム障害と認定するにつきまして、ICD-11上の”Gaming Disorder”という精神障害の要件として、精神的な兆候(ゲームに対するコントロールの障害など)にとどまらず、長期間にわたる社会的機能に関する苦痛・障害が存在することが必須となります。

 併せて、「ギャンブル障害」はICD-11における”Gambling Disorder”に該当し、「ゲーム障害」とは別の判断基準によって厳密に分類されています。

 上記のような判断基準に基づくべきである一方で、該当項において「ゲーム障害」を「ギャンブル障害」と一括りに記載すると、ICD-11上の定義からかけ離れた認識のままICD-11を援用することが考えられます。併せて、ゲーム障害がICD-11に含まれた一方で、未だその明確な科学的裏付けが存在していないことが参議院での厚労省答弁でも明らかである¹点を鑑みると、より慎重に「ゲーム障害」という言葉を用いるべきです。

 よって、世界保健機関の採択した定義を基準に、あくまで当該要件に合致する場合に、医療的支援の立場で啓発を行うという認識であるべきと考えます。

 なお、「ネット依存」についてはICD-11には存在せず、上記「ゲーム障害」以上に定義が明確ではないため、極めて慎重な表現をするよう留意すべきである旨、意見として付記いたします。


1第204回国会 参議院 内閣委員会 第4号 令和3年3月16日 政府参考人赤澤公省君回答より
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120414889X00420210316/75

「ゲーム依存、ネット依存、スマホ依存についての発症のメカニズムは現時点で確立した科学的知見は承知しておりません。」
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120414889X00420210316/77

「ゲーム依存、ネット依存、スマホ依存について、現時点で治療、予防に関する確立した科学的根拠、科学的知見は承知しておりません。今後、これらの発症のメカニズム等の解明につなげるよう、更なる研究により科学的知見の集積を図る必要があると考えております。」


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